特設コーナー:ついに公開、アノ化石!!
〜アノちゃんだよ、よろしくね〜


では、いよいよコラムで予告していた「アノ化石」を公開します。
さて、これは一体何でしょう? もちろん三葉虫ではありません。


ずばりデート中のエビのカップル? う〜ん、なんだかなぁ。(^ ^;)
たしかに、奇妙なエビみたいなのが上と下に2つ見えますよねぇ。
んじゃあ、もう少しアップにしてみましょう。さて、わかるなか?


種類:アノマロカリス・サロン(Anomalocaris saron)、1995,Hou et al
産地:中国雲南省澄江県帽天山、Mt.Maotian,Chenjiang county,Yunnan Province
地層:帽天山層、Maotianshan Shale
時代:下部カンブリア紀(Lower Cambrian)、約5億3000万年前(530million years ago)

きっと「テレビで見たのに似てる!」という方もいるのではないでしょうか。
そう、アノマロカリスです。これは名前の由来ともなった2本の頭部捕食肢
の部分の化石です。(「アノマロカリス」は「奇妙なエビ」という意味です)
有名なカナダのバージェス頁岩で19世紀末の1892年に最初に発見されて、
後にバージェスの標本を再検証する中で約1世紀後の1985年になって正確な
姿が復元されたという不運な動物です。復元されるまでは「エビ(捕食肢)」
だの「クラゲ(口器)」だの「ナマコ(胴体)」だのと、部分ごとに別の生物と
して名前も付けられていましたが、実はカンブリア紀最大の捕食動物です。
つまり、「エビ+クラゲ+ナマコ=最強」という図式です。(なんだよ、それ?)

上側の捕食肢ですが、こちらは下よりも欠けている部分がやや多い感じです。
アノマロカリスは世界の数ヵ所で発見されており、カンブリア紀の世界の海で
最強の名を恣にしていたようです。澄江では4種類以上のアノマロカリス類が
発掘されていますが、このアノマロカリス・サロン(Anomalocaris saron)は
バージェスのアノマロカリス(Anomalocaris canadensis)に近い種と考えら
れており、この捕食肢が10cm強ありますから体長60cmにはなるでしょう。
澄江では口器の断片から2mに達するアノマロカリスもいたと見られてます。

こちらの捕食肢の方が保存状態が良いのですが、先端の刺が欠けているのが
残念です。多分、岩の反対面についているのでしょう。それにしてもこの形
確かに「エビっぽい」ですね。バージェスの黒い頁岩と違って、澄江のもの
は黄色い岩に赤っぽい化石ですから、知っててもエビに見えてしまいます。

で、そのエビの背中部分の上に「口器」の断片も残っています。この位置は
ちょうど捕食肢の付け根部分ですから、位置の近い口器もいっしょに堆積し
たものです。この口器が大小28個、円形に並んで三葉虫をバリバリと食べて
いたようです。ちなみに、アノちゃんのウンチの化石も発見されています。

捕食肢の下側のトゲトゲを拡大してみました。これで三葉虫などをガッチリ
とホールドして、口へ運んだのでしょう。ああ、かわいそうなサンちゃん。

というわけで、現在は最高級のケースに入れています。縦にしたのは見せた
ときに「エビ!」とか言われたくないのと、海底を歩いている三葉虫を悠々と
泳いで上から襲撃する恐怖感をちょっと醸し出してみたかった(笑)からです。



コラム番外編:化石って、高いの? 〜高いものは高いですぅ〜

ということで、以前安い化石の話しを書きましたが、一方で高いものは高い
です。といっても、大半の化石は産地から掘り出してきたりクリーニングに
手間がかかっていたりと、値段にはそれなりに根拠があります。では、どん
な化石が高値になるのかというと、まず「稀少」なもの、次に「状態」が良
いもの、これはクリーニングなどの手間も含まれていると考えてください。
そしてやはり、「サイズ」が大きいものでしょう。あとは、見た目の美しい
ものや、趣のあるものほど人気があるようです。では具体的にはいくらかと
いうと、上は数億円までイってしまうらしいです。それらは博物館入りする
ような貴重なものものですから、事実上「値段がつかない」と言ってもいい
でしょう。例えばティラノサウルスの全身とかね。私の場合は一番高かった
のは、例の「アノ化石」です。で、お値段はというと、ちょっと秘密です。
まあ、一般人でも買えるけど家族にバレたらただでは済まない額だったとは
言えます。んで、外人相手に頑張って一割値切りましたが、この手のものは
稀少性が高く一期一会という確率が高いので値切れなくてもきっと買ったと
思います。これが三葉虫だと、同程度の値段が付くものでもじっくり待てば
モノが全くないということはないでしょう。だからこれは満足のいく買い物
でした。ようするに、自分が「買ってもいい」という値段が適正価格です。
あまり金額だけで化石を語るのはイヤなんですけど、これは必ず聞かれるし
人によっては分かりやすい基準らしいので。でも、自分の手で掘り出すのが
私としては一番です。こうなると化石が趣味外の方は理解不能らしいです。

さて、写真が何もないとちょっと寂しいですから、今年のミネラルフェアで
入手した化石を一つ載せておきましょう。これは「芸術性」で買いました。


〜空飛ぶファコプス from モロッコ〜
(ファコプスの一種,Phacops sp./デボン紀,Devonian/エルフド,Erfoud,Morocco)

男1「あっ、鳥だ」     
男2「飛行機だ」      
男3「いや、ファコプスだ!!」


ぐおお〜ん          
男1「おおっ、こっちに来る」


ぎゅい〜ん         
男2「いや、急旋回してるぞ」


きゅうううぅん…       
男3「い、行ってしまった…」


ということで、空飛ぶスーパー・ファコプスでした。掘る人が思いっきり遊んでる
感じで面白かったので買ってしまいました。日本人の方がクリーニングしたもので
名刺ももらいました。池袋にも出展するそうなので、次回作が今から楽しみです。



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おまけのページです。脱力するネタですから無理に見なくてもいいですよ。
ま、チョコラザウルス2のアノマロカリスをゲットした記念ということで。

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